アルバイトや正社員に関わらず、就職・採用の面接でよく聞かれる質問の一つに、「あなたの長所/短所は何だと思いますか?」というものがあります。実際のところ、性格というのは文字通り「一長一短」なものです。自分にとっては自信満々で「これが長所です!」と思っている場合でも、面接官の意図や、実際の業務や職場においては思いがけず短所になってしまうという場合があります。例えば、「困難に陥った時、時間が掛かっても自分で考え、それを解決する根気がある」なんて書くと、スゴく立派な長所のように見えます。が、しかし。これは仕事においては「わからないことをすぐに質問できず、ひとりで抱え込んでしまう性格」であると捉えられてしまう可能性も潜んでいるんです。

 

職場において、わからないことを周囲の人間に質問しないというのは、店舗や企業の業務全体の流れから見れば、ハッキリ言って流れを止めてしまうような、あまりよろしくない状況にもなりかねません。これはわかりやすい例として挙げましたが、性格の捉え方が一長一短だということが理解しやすい一例でしょう。もちろん、面接で嘘を言うことが良くないことに変わりはありませんが、上に書いたような、性格はその場、その人の捉え方次第で長所にも短所にもなり得ると考えれば、思いがけず長所は短所になってしまうということは覚えておいた方が良いでしょう。ただ、これは逆の場合も言えるわけで、自分では短所に思ってコンプレックスに感じているような性格でも、未来の職場においては「この職場、この業務に向いている」と判断される可能性を秘めているという可能性があるということも忘れてはいけません。

 

性格の捉え方が一長一短であることを理解できていれば、「自分に向いていること/向いていないこと」についての捉え方も少し変わってきて、より客観的に自分を分析することができるようになるでしょう。私たちは、向いていること=長所を活かせることだと考えてしまいがちで、それは同時に短所=向いていないことだと無意識のうちに決めつけてしまっていることにもなります。「集団行動に向いていない」ということは、裏を返せば、「ひとりで黙々とこなす作業に向いている」という意味を持ち、それは短所から一つの価値を持った長所になります。同じように、ただ時間が来るまで延々と続くような単調な単純作業が苦手だということは、臨機応変な対応が求められる仕事に向いている可能性を秘めているということなのです。

 

これは私自身、就職活動の時期に感じたことですが、「ありのままの自分を見て欲しい」と考えて、自分の考えを全て素直にアウトプットするだけでは、自分の希望する職場で働くことは難しいと思います。国語の試験で「作者の意図は?」という問題が、実際には「出題者の意図は?」という意味を持っているように、面接官の質問には、ただ素直な回答を返すだけでなく、いかに自分と相手(企業や店舗)がマッチングできているかを伝えるというテーマも潜んでいるのです。だからこそ、先にも書いたように、実際には思ってもいないような嘘を伝えるのではなく、短所も長所に捉えられるような、複眼的な視点を持ち、それを言葉にすることが大切なのです。

 

自分の性格というものは絶対的な尺度に当てはめることができるようなものでは無く、時と場合によって長所にも短所にも変化をする不安定なものであるということ。それを頭の片隅に留めておくだけで、自分の主観的な長所を押し売りしてしまうような事態は避けることができるようになるかもしれません。